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❅·̩͙26 ページ26

〜♪ とにかく見てほしかった



声が月夜に沈んでく。
あの日と同じか、それ以上に真っ直ぐで美しい。



なぜ歌う気になったのかは分からないが
隣から零れてく音をひとつも漏らさないように
脳の中に閉じ込める。



月を見れば落ち着いていた心。
渡辺の歌が、更に心を浄化してくれる。



彼の方を見たらもう歌ってくれない気がして
ただひたすらに夜空を見つめた。



〜♪ バイバイは言わない もう二度と…



『…満足ですか』


「ありがと、大満足」


『好きなの、この曲』


「曲は知らない。渡辺が歌うから良い」



えっ、と引いたような声色が返ってきたから
まずいこと言ったかと隣を見た。
その瞬間口を手で覆って顔を背けられる。



…やば、嫌われた?



「あ、その、ごめん。キモいよね」



今度は勢いよくこっちを向く。
忙しいヤツだな。



『そーゆーこと言うのずるいじゃん』


「ずるい?いや、他意はなくて普通にその渡辺の歌声が
綺麗で好きだなと思って、」


『分かった分かったもういい!ありがとう!嬉しい!』



あ、耳赤い。
そういうことか。
照れてるのか。



なんだ、変な心配しちゃったよ。



後ろのエレベーターが開く音がした。
振り返ろうと体を捻ったら
渡辺の手が伸びてきて視界を遮る。



『どーせめめ』


目「しょっぴー、そこ俺に代わって」



おーすごい。正解じゃん。



パタパタとサンダルで踏みしめる音が近づいてきて
代わって、と言いながら逆サイドの方へ目黒が立つ。



渡辺と違う香り。
人工的なものじゃない、
柔軟剤と目黒の持つ匂いが混ざった、人間の匂い。



『結構いた?向こう』



渡辺は目黒の主張を無視して普通に話しかけた。
それにちょっと不満げな顔をした右隣だったけど
もう一度同じ文言は繰り返さずに、律儀に答える。



そんなに多くはなかったけれど、
幹部クラスが出張ってきたからめんどくさかったって。



そういえば、とそんな会話を聞いて聞きたくなった。



「白雪って幹部とかいるの」



私はまだ白雪のことを何も知らない。
頭がふっかということくらいだ。
なんでこのメンバーが集まったのか、
そもそもなぜ暴走族などやっているのか。



次々に浮かぶ質問を口にしていたら
落ち着け、とでも言うように渡辺が私の肩を叩く。



『説明するから、んなポンポン言わないで笑』


「…はーい」



渡辺は身振り手振り交えながら、
まず白雪の役職を教えてくれた。

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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時

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