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❅·̩͙2 ページ2

9つの雪のおかげで私の高校は
治安最悪と評判だ。
白雪に憧れて入ってくる見た目だけの奴は沢山いる。



「…自分ぐらい自分で守れる」


『ふは、かわいくねぇな笑』



差し伸べてくれた手を無視して立ち上がった。
この言葉は強がりではなく事実だから。



そうやって独りよがりで生きてきたら
人の親切心を素直に受け入れられなくなった。
とりわけ男は、どうせ下心か気まぐれだと思ってしまう。



見ず知らずの女を純粋に助けようなんて人が
この冷たい東京に何人いるだろうか。



『ついでに送ってやろうか。また変な虫つかねぇように』


「いらない。じゃあ」


『はーほんとかわいくねぇ。黙って送られときゃいいのに』



歩き出した私の隣を平然と歩く。
ムキになって歩く速度を早めてみても
性別の壁が持つ足の長さや速さは越えられず。



「まじでついてこないで。
1人で帰れるし知らない奴に家知られたくない」


『俺渡辺翔太。城月(じょうげつ)高校3年。同じ制服っしょ、何年?』



あぁ、青色だ。
彼に泣かされた女を何人も知っている。



その顔と声に惑わされて喰われた女も
その気まぐれに絆されて恋した女も
校内に何十人もいる。



よりによって助けられたのがこいつかよ。



「答えたくない。早くどっか行って」


『なんつー口聞くんだよ。俺でもそんなに言わねぇよ。
あれ、てことは俺のこと知ってたりする?』



しつこい。納豆ばりの粘りだ。
アパレルスタッフに向いているんじゃないか。



『…そろそろガチギレされそうだから退散すっかな。
まぁでも、同じ高校なら明日会うかもね。
じゃーね。次名前教えてよ』



次なんてない。



渡辺が後ろを向いた瞬間早足で帰路を辿った。
時折本当についてきていないか確認しながら。



空っぽな家に灯りを灯す。
浮かび上がる影が余計に独りを強調させた。



あんなに来るのが怖かった夜なのに
今では明けなくていいとすら思う。
太陽の光も、これから生きていかなければならない人生も
私には眩しすぎる。



月光に照らされてようやく輪郭が見えるような私には
この世界は向いていない。

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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時

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